着実にキャリアを積み重ねる30代男性。コーチングで新たな世界が

2020年8月21日

私が就職活動を行なっていたのは、いわゆる「就職氷河期」と言われる時期でした。基本的にどの民間企業も採用数を削減し、倍率はそれ以前のものと比較してどこも高いものばかり。学生時代、自分の周囲の人間を見ると、就活を諦めている人間も多く、学生間の格差はかなり酷いものだったのを覚えています。かくいう私も、諦めるとまでは行きませんでしたが、「現状がこれならばどうしようもない」と歎息していました。

では、実際のところ私の就活はどうなったのかというと、「首の皮が一枚繋がった」という表現が適切でしょう。というのも、私が特に志望していた会社からことごとく落とされたのです。結果的に入社したのは中小企業。どこにでもありそうなごく普通の営業職を生業とすることになりました。入社が決まった当初、そして入社して以降しばらくの間も、自分という人間につくづく嫌気がさしていました。ですが、決まったものはしょうがないと腹を括り、この職場で頑張っていこうと次第に思い始めていました。

背に腹は変えられないという私の思いが強く表れたのか、会社での私はそこそこ頑張っていました。自分の思いの外、自分と営業職という仕事との相性が良かったのだと思います。同期と自分との営業成績を比較してみても、私のそれは比較的高かったです。そのため、年収もそれなりにいただけていました。気がつけば就職してから5年、10年と月日が流れ、私もいわゆる「上司」と言われる立場になっていました。気がつけば自分も、「指導される」立場から、「指導する」立場へと、次第に移り変わり始めていたのです。

その頃から、私は言いようのない虚無感を覚えるようになりました。確かに、自分は同期の中でも「出世頭」と言われるほど営業成績面で著しい活躍をしていました。しかも気がつけば社内においてそれなりに責任のある立場になっていました。ですが、ふと入社してから今までのことを回顧すると、なんだか自分の中で腑に落ちなかったのです。年々増えてくる後輩に叱咤することもあり、嫌な顔をされたり、入社時は同じ身分だった同期との差がついて、なんとなく距離感が生まれてしまったり。「本当にこれでいいのだろうか?」と日に日に思うようになっていました。

そんな風に思っていたある日、私はたまたまネット上でコーチングの存在を知りました。

自分のキャリアデザインをサポートし、より良いライフスタイルに導いてくれるという謳い文句は響きの良いものですが、最初は訝しげに思っていました。「そんな都合よく自分の適職が見つかるわけないだろう」と思っていたのです。同時に、ここまで続けてきた仕事を手放すことへの抵抗感も強いものでした。しかし、たまたま高校時代からの幼馴染と連絡を取る機会があり、そこでコーチングに対する印象は一転しました。というのも、彼は数年前にコーチングを通して今の仕事を見つけ、仕事を楽しんでいたのです。これは聞くだけでも違うだろうと思い、コーチングを受けることにしました。

コーチングを受けた私はハッとしました。私は今まで自分の特性を一切理解できていなかったのです。自分の特性と言っても極めて広義的です。その人の適性の高い職種を見つけられるという点もありますが、自分の好きなものに対する理解が深まることも大いにあり得ます。そこで私は、社会人になってからずっとインテリアにこだわる趣味があったので、インテリアコーディネーターになることを決意しました。

私はインテリアコーディネーターを目指すにあたって、貯蓄も十分あったため、離職することに決めました。離職したいという旨を周囲の人間に打ち明けた時、その猛反対ぶりはすごいものでした。「うちを辞めるメリットなどないぞ!」「今の生活の方がずっと良いだろう」などと、上司や同期、後輩までにも引き止められました。しかし、私の決意は生半可なものではなかったので、周囲の反対を振り切り、辞職届を出し、10年以上お世話になった会社を後にしました。

今私がどんな生活をしているのかというと、まだインテリアコーディネーターになった訳ではありません。近所でアルバイトをしつつ、貯蓄を崩しながら資格取得に向けた勉強をしています。試験に受かって資格を持っている人間でないと就くことのできない職業なのです。ですが、個人的にはこのくらいの関門があって良かったなと思っています。

実はもう少しで試験当日を迎えます。10年以上前に就活で失敗したことを踏まえ、この試験に向けてやれるだけのことはやってきたつもりです。自分が望む最高の結果になることを心から祈っています。

とはいえ、結果が不合格でも構いません。また挑戦すれば良いだけですから。ここで一つ確実に言えるのは、こういった前向きな姿勢になったのもコーチングのおかげだということです。コーチングを通して、人生におけるリスタートが不可能な瞬間は存在しないと感じさせられました。私の価値観を大きく変えてくれたコーチングには大いに感謝しています。