35歳派遣社員。どん底人生だった私が、写真家になって思うこと

2020年5月29日

自分で書いていて悲しくなってくるほど、どん底。それが35歳の私でした。そんなどん底だった私も、今は夢だった写真家として充実した日々を送れるようになりました。今回自分の人生の転機について書く機会をいただいたので、書いていこうと思います。

 どん底だった30代はとにかくつらい日々でした。彼氏が欲しい。結婚がしたい。子供が欲しい。安定した将来が欲しい。日々の充実が欲しい。自分が持ってないものばかり数えて、持っていない理由を人や環境のせいばかりしていました。そんなどん底人生だった私をさらに奈落の底に突き落とし、結果として這い上がるきっかけをくれた大事件が妹の結婚と妊娠でした。私が35歳の時でした。大手人材会社に勤めていた5歳下の妹は寿退社をし、子育てをする。私は派遣社員で彼氏なし。妹と自分の人生のギャップにひどく失望し、さらに妹の結婚を素直に喜べない自分の小ささに失望しました。人によっては大したことないと感じるかもしれませんが、当時の私にとっては人生を変えてしまうほどの大事件でした。このままではいけない。自分も幸せになってやる。妹のドレス姿を見てそう強く思いました。自分はこれからどうなっていきたいのか?私は35歳にしてキャリアデザインを考え始めました。ちょうど知り合いにコーチングというものを勧められ、コーチングを受けてみようと思いました。

コーチングを始めて、最初に「あなたにとって幸せとは?」と聞かれ、ドキッとしました。自分にとって幸せな人生とは何なのだろうか?自分は結婚がしたいのか?子供が欲しいのか?いい会社で働きたいのか?今まで考えてもいなった自分の人生の作り方について改めて考えさせられました。自分が本当やりたかったことや、満足することを一つ一つ考えていった結果、でた答えが、「写真家になりたい」でした。

あれほど自分が持っていないものを持っている人をうらやみ、結婚し子育てをする妹へ嫉妬をした自分の一番なりたい未来が「写真家」であることに自分でも驚きました。

私の高校生からの唯一といっていい趣味が写真を撮ることでした。実家が写真屋で父も祖父も写真家でした。子供の頃から写真とともに生き、私の生活の中には写真がいつもありました。

でも、自分は写真家なんてなれないと思っていました。ずっと写真が好きで撮り続けてきたからこそプロとして生きていくことがどれほど難しいか、プロの写真家の方たちがいかに天才かを分かっているつもりでした。自分なんかがなれるはずがない、憧れの世界だからこそ憧れのままにしとくべきだと思っていました。

コーチの方のアドバイスで10年後の理想の自分を想像してみたら、私は写真家になっていました。私は家族に私の作品を見せていました。父と母と妹の家族とまだ見ぬ未来の旦那と子供が笑顔で私の写真集を見て歓声を上げていました。その場面を想像した瞬間、自分のスイッチがオンになった音を聞いた気がしました。写真家になった未来の自分を想像するとワクワクが止まらなくなりました。その瞬間、私は写真家になってやると誓いました。ないものばかりを数えるどん底アラフォーと決別するために強く誓いました。

写真家になると決意してから、とにかく会う人に「写真家になる」と宣言するようにしました。35歳を過ぎて写真家になりたいと夢を語る私を笑う人もいました。表面上の応援の裏で笑っていることに気づいたこともありました。それでも言い続けました。そんなある日、知人の知人に写真家の方がいて、その人の会社がアシスタントを募集しているという情報を教えていただき、その縁で写真家のアシスタントとして転職しました。こうしてどん底だったアラフォーは写真の世界に飛び込むことができたのです。今は写真家のアシスタントとして活動しています。

人生は何が起こるかわからない、自分のやりたいことを声に出すことで変わることがあると気付きました。これまで好きでもない派遣の仕事に大半の時間を費やしてきた人生が一変して、ほとんどの時間を大好きな写真に費やすことができるようになり、現在では徐々にですが一人で仕事を任せてもらえるようになってきています。

絶対になれないと思っていたプロの写真家になれたのです。あの日見た、理想の10年後の自分を実現するため今は日々頑張っています。つらいことも大変なこともありますが、やりたいことも分からず人のせいばかりしていたあのどん底の30代の日々や、チャレンジもせず想像だけで怖がっていたころに比べれば全くつらくありません。

「人生はやったもん勝ち」今では心の底からそう思います。やりもせずに勝手に想像して怖がっているよりもチャレンジして悩めばいいのです。やってみたら意外と何とかなります。何歳でも遅くない!自分は何になりたくて何をやりたいのか、をはっきりさせ、勇気をもってそこに飛び込んでみることが大事だと今では本気でそう言えます。