息子の不登校をきっかけに考えた40代のキャリアデザイン

2020年6月11日

ある日息子が学校に行かなくなりました。今から3年前のことです。今から振り返ると、40歳で平凡な専業主婦だった私は息子の不登校をきっかけにたくさんの学びを得て、キャリアデザインを考えるようになりました。これから息子の不登校によって学んだことを書かせてもらいたいと思います。

当時、私は2人の息子を育てる専業主婦でしたが、急に2番目の小学4年生の息子が不登校になってしまったのです。昨日まで普通に学校へ行っていたのに。理由を聞いても答えてはくれず、とにかく学校には行かないと言ってききませんでした。少し年の離れた上の息子はもう高校生になり、それなりに落ち着いた日々だったのが当然の登校拒否で、私は途方に暮れてしまいました。しかも息子はなぜか普段と変わらず元気に家の中で過ごしています。部屋に閉じこもるわけでもなく、犬の散歩で外に出たり、近所の小さなスーパーにお菓子を買いに行ったり、放課後は近所の友達と今まで通り遊んでいました。さらには家に届けられる宿題から、これまで怒るまでやらなかった通信教育の教材まで進んでやっているのです。もう私はどうしていいのかわかりませんでした。近所の方からも平日の昼間に息子さんをよく見かけるが、どうしたのかと尋ねられるのですが何と答えていいのかわかりませんでした。とにかく私にも父親にも理由を話してくれることもなく、当時の私はもうパニックでした。

 そんな時に、相談していたママ友の一人から紹介され、コーチングというものを知り、プロのコーチの方に相談するようになりました。初回のコーチングで「なぜ不登校はダメなのですか?」と聞かれ戸惑いました。なぜ不登校はダメなのか、自分で考えてもいなかったことに気づきました。いろいろ考えたのですが、結局「世間に恥ずかしいから」としか答えることができませんでした。

ただ不登校はよくないものだと決めつけて息子を説得していたことに気がつきました。自分の価値観で考えたのではなく、ただ世間の価値観に合わせていたのです。私にとって、なぜダメかを考えずに世間がダメと言っているからダメと思うことが当たり前になっていたのです。自分の価値観で、自分で考えることの大切さに気付きました。

そしてコーチはもう一つ、こう質問しました。「あなたにとって世間とは誰ですか?」と。それも私には自分の小さな常識を突破する驚きの質問でした。世間とは誰なのだろう?常識とは何なのだろう?と考え始めました。

まず、私にとっての「世間」を探っていくと、父親が思い浮かびました。私の父は非常に厳格な人で、周囲に恥ずかしくないようにというのが口癖でした。だからいつも人からどう思われるか?が重要な価値になっていたのです。息子が学校にいかないことで、父に「子育てもまともにできない」というレッテルを張られ、父に怒られることを私は一番恐れていたのです。

そして常識とは世の中の人みんなが共有している当たり前のこと。社会を円滑に回すためのルールで、小学生は学校に行かなくてはいけない、というのも常識なのかもしれませんが、考えてみればなぜ誰にも迷惑をかけていない息子が小学校に行かないだけで周りの人から後ろ指をさされなければいけないのでしょうか。

勉強は家できます。そして息子は元気に家で勉強もし、放課後は友達と外で遊び、家のこともお手伝いしてくれて、素直に明るい息子のままです。学校という小さな器に収まらないというだけで、息子の何が悪いというのでしょうか?

物事をとらえるときに、常識やあたりまえという言葉で思考停止せずに、自分の価値観で善い、悪いを判断できる人に育てるのが本当の教育なのではないかと思いました。なぜなら常識や当たり前、ましては「正しい」ということさえ、時代や状況によって変わるのです。だからこそ息子には自分自身の価値観で判断する人になって欲しいと思いました。私自身がそれをできていなかった。だから息子がそれを私に教えてくれたのだと思いました。私だけでも息子がやりたいことを認めて、肯定してあげるべきだ、子供が元気に楽しく過ごしているだけでいいじゃないか、とコーチのいくつかの質問の答えを考えるうちに、そう心から思えるようになりました。

 私は、学校に行きなさいと息子に言うことをやめ、自由にしていいと伝えました。息子の顔が見る見るうちにほころび、やさしい笑顔になり、それを見ている私の気持ちもすごくホッとした気持ちになりました。息子と気持ちが通じ合い、二人とも自由になったような気がしました。すると、驚くべきことに数日後息子は学校に通いだしたのです。

私はコーチングによって自分の価値観ではなく世間の価値観に縛られていたことに気づきました。こんなにも苦しんでいる人を救えるコーチングはすごいと思いました。そして私もいつか悩んでいる人の力になりたいと思うようになりました。私は現在、コーチになるために、コーチングとカウンセリングの勉強をしています。また不登校だった息子も中学生になり、元気に学校に通っています。

息子の不登校をきっかけに受けたコーチングは、私の人生を変えてくれました。ものの考え方ももちろんですが、私も誰かのお役に立ちたいと思わせてくれ、40代になったわたしにキャリアデザインを考えるチャンスを与えてくれたのです。