医薬品企業を58歳で失業した私が、薬剤師になった出来事

2020年8月25日

現在58歳の男性の私。医薬品企業で勤めていたのですが、1年前に会社から解雇通知を受けて失業してしまいました。当時落ち込んでいた私が現在は薬剤師として元気に勤務しております。今回の人生の転機について、これまでのキャリアデザインと併せて書いていこうと思います。

 私は高校の頃から薬に興味があり、薬のことを学びたいと考えて、大学では薬学部への入学をすることにしました。そして大学の中で薬学のことを学び、ますます薬のことを通じて社会貢献したいと考え、薬剤師の免許を取ることができました。そして、薬学部の中で学んだ製剤技術のことを活かしたいと考えて、大手医薬品企業に入社することを決意しました。当時22歳の私にとっては良いキャリアデザインができると考えていました。

 医薬品企業の中では製薬の研究開発を行うことから始まりました。その中で最初は製剤技術の研究を行うことにしました。製剤技術の中では、製剤化する際の有効な製剤成分の最適化を行っていました。製剤化する中では様々な失敗を繰り返した中で5年間技術の検討を行ってまいりました。そして、6年後に最適な成分を見つけることができ、会社の中で評価されるようになりました。そして、製剤開発の担当者として20年間働いてきました。その中で私は製剤開発の専門家になりたいとの考えがあったのですが、会社として方向性が変わり、MR(医療情報担当者)に異動することになりました。これまで営業の経験がなかった私でしたが、MRの業務においては製薬の知識が必要となるため、製剤開発を担当してきた私としてはMRの業務でも自身の知識が活かせることから、案外と楽しみながら業務に取り組むことができたのです。MRとして15年間頑張ってきました。今振り返るとMRとして働いたことは新たなキャリアデザインの一歩になったのだろうと思っております。

そんな中、会社の経営がやや厳しくなったことから、会社が事業縮小を検討し始めました。同僚も事業縮小に伴い退職する人が出始めていたのです。退職した同僚も同じ50代だったことがあり、なかなか転職が決まらず失業状態にあるとの情報を聞き、少し不安になってきたときでした。そして、製薬業界全体が厳しい状況に入り、会社としてさらに経営が悪くなってしまい、私も解雇通知を受けることになってしまいました。当時、年齢的にも転職することが厳しいと考え、転職が決まらないまま失業してしまうことになってしまいました。私が失業したことを知人に伝えたところ、知人から「コーチングを受けてみたらどうか。私も諸事情で一時期休業していたが、コーチングを受けて人生が変わったんだよ。」と言われ、コーチングを受けることにしました。まず、コーチングを受けるにあたって事前に自身のことを整理することにしました。

コーチングの中でコーチの方から「これまでどんなことをされてこられたのですか?」と問われ、これまで整理してきたことを伝えました。そしてコーチから「それでは、今挙げられたことの中でやってみたいことがありますか。次回、もう少し深めましょう。」ということになりました。その結果を受け、自身のことを考え直してみました。そして2回目のコーチングで「昔取得した薬剤師の免許を活かせるかと思いました。薬剤師なら可能性があると思いました。」と答えると、コーチの方から「いいですね。目標に向かって頑張ってみましょう。」と言われ、転職に対して頑張る気持ちが高まったのです。しかし、私も50代後半だったことから新たなキャリアデザインの形成として正社員として始めることは大変と考えて、アルバイトの求人から応募することにしました。

アルバイトの中ではなかなか面接がうまく進むことなく、再度コーチングすることになりました。その中でコーチの方から「うまくいかなかったことはどういうところがあると感じてますか。」と聞かれ、私は「今振り返ってみると、昔携わっていた経験のことをうまく伝えられていなかった。」と答えました。すると、コーチから「そうだったんですね。あらかじめ振り返って、次の面接で伝えてみてはどうか。」とフィードバックいただくことになりました。これまでのことを振り返って新たな薬局のアルバイトでうまく伝えることができました。そして、薬局でのアルバイトで採用いただくことになったのです。

薬局のアルバイトではまだ経験が少なく、年齢的には少し大変なこともありますが、MRを通じて経験してきた対人のコミュニケーション経験と製剤技術で得られた知識をうまく活かすことができているため、これからのセカンドライフに向けて地域の薬局で交流を楽しみながら自身のキャリアデザインが形成できております。

このように大きく人生が変化したことは、コーチングを受けたことにありました。コーチングを通じて50代の私でも自身の道を見つけることができたのだろうと振り返っています。