女性初の中間管理職というキャリアデザインを選んだ私の体験談

2020年6月20日

1960年代に創業し、地方都市ではあるものの、「そのエリアで会社の名前を知らない人はいない」という企業。

そんな企業を想像してください。

私は「そんな企業」で中間管理職をしています。それも、女性で初めての中間管理職です。

ここでは、戦後の高度経済成長期に立ち上がった古い会社の伝統や慣例に負けず、女性の中間管理職としてキャリアデザインをした私の体験談をお届け致します。

―同僚の突然の退職がきっかけー

新卒で入社したこの会社。

特にキャリアデザインのことなどは考えずに、会社に入りました。

当時は、そんな時代でした。

女性の中間管理職なんて、全然ありえないような時代だった、と最初にお伝えしておきます。

私も長いことお世話になっていますが、ある時、入社以来とても仲の良かった同期が突然退職することになったのです。

今まで、特にトラブルなどもなく、かといって本人も特に問題があって退職するということではなさそうだったのですが……

話を聞いてみたところ、とんでもないことがわかりました。

なんと長年にわたって「女性特有の悩み・体調不良」などについて上司に相談しても取り合ってもらうことができなかったそうです。

またそれに合わせて休暇などを与えてもらうことも出来ず、さらには、女性に対して決して言ってはならないようなことを、その男性の中間管理職が言い続けていたというのです。

それで心身ともに体調を崩してしまい、今回の突然の退職につながったということでした。

―「鶴のひと声」で女性管理職の誕生―

この社員の突然の退職は社内でも話題になりました。また様々な憶測も呼びました。

そんな折、私はある日突然「社長室」に呼ばれました。

何かまずい事でもしたのかな?

と思ったのですが、とにかく普段入らないような、というより入社式以外では入ったことがない社長室に入りました。

その時、社長室にいたのは社長と社長の奥さま。

社長の奥様は会社の相談役のようなポジションで会社に対して発言権がありました。

その場にいらっしゃっても不思議ではありませんでした。

ただ私は、おそらく女子社員に対しては、高圧的な態度をお取りになるのだろうと思っていました。

しかし奥様は、

「〇〇さん、今回の女子社員の退職は会社としてあってはならない重大な損失だと思っています」

この会社は古い会社というのは言い訳にはなりませんが、とにかく悪気が無いにもかかわらず、男尊女卑の考え方が根付いてしまっています」

と、丁寧に伝えてくれました。

そして社長から「我が社のさらなる飛躍のために、そして働き方改革のために、さらに、今までの古い慣例を断ち切るために、

あなたにぜひ女性で初めての中間管理職というポジションについていただきたい」

「出来る限りのサポートはするし、社長『きもいり』の人事と言ってもらって構いません」

「だから、女子社員が働きやすい環境作りを進めてください。」

こうして、今までキャリアデザインなど1ミリも考える環境になかった私が、女性で初めての中間管理職として活動することになりました。

辞令はその日すぐに出たので、即日で「にわか仕込み」の女性管理職の誕生となったわけです。

―悪気のない悪意ほど恐ろしいものはないー

予想はしていましたが、男性の重役・管理職たちは、とにかく悪い気はないのですが、男尊女卑の考え方が根付いてしまっています。

SNSに掲載されたり、ニュースにでもなれば炎上間違いなしと思えるような発言や態度、行動も彼らにとっては「悪気のない悪意」なんです。

これは一つ、女性と男性がビジネスというフィールドの中ですり合わせをするための一つの要素だと感じました。

この辺りの調整や分析ができるのも、女性の中間管理職が会社に配置されていることの一つのメリットではないかと考えています。

もちろん、女性社員の「声無き声」を上に届けることができる、正確に汲み取って指示を返したり、アドバイスができる。

というのも女性の中間管理職が会社にいなくてはならない理由の一つと考えてもいます。

そして実際、このすり合わせ・調整が功を奏して、昨年の春くらいから弊社では女性の職場環境が多少改善を見ることになりました。

私も実際に少し働きやすくなったかな?少し適切な距離感で仕事ができるようになったかな?

と感じるようになりましたし、SNSで会社の悪口が書かれることもほとんどなくなりました。

当初は、私に対して否定的であったり、「色眼鏡」で見ていたような重役達も、いまではお互いに認め合って仕事をしています。

また私も彼らの行動をある程度理解することができるようになったため、あらぬ誤解を生まぬように調整や連絡を出来るようになりましたね。

社内の風通しは数年前と比べれば劇的に改善されました。

もちろん、さすがにガラス貼りの経営・ガラス貼りの社内環境とまではいきません。

戦後まもなく創業の中小企業としては、かなりの透明度まで来たものと認識しています。

しかし、ここまでの道のりは大変なものでした。

辞令が出たあの日以来、女性の中間管理職となった私は「お手並みでも拝見しましょうか」と言わんばかり、とにかくいじめ抜かれてしまいました。

というように書くと、私一人がすごい能力を持っているように聞こえるかもしれません。

しかし、私に特別飛び抜けた能力があるわけではありません。

これだけのことができたのは、「コーチング」があったから。

私は中間管理職になると同時に、「女性向けキャリア支援コーチング」なるものを受けました。

簡単に言えば、キャリアを築くため、いろいろと教えてもらえるというサービスです。

私はコーチングを受ける中で、「中間管理職が社内に影響を与えるためには、どうすればよいか?」ということを学びました。

私は女性にとって働きやすい空気感を作るのが目的の中間管理職でした。

だからこそ、「女性は会社内で、このように扱われるべきだ! というのを、自分の影響力で広げて行かなければいけません。

コーチングでは、どのようにそれを達成するか、しっかりと教わりました。

上司に何かを言うにも、部下に注意するにも、コーチングがなければ、ここまでの効果は得られなかったでしょう。

コーチングがあったからこそ、今の自分と結果があると思っています。



―まとめー

私は同僚のこともありましたし、このエリアでは最良の企業と言われているこの会社に夢や希望を持って入社してきてくれる地元の若い女の子達の為にも、守りたいものがありました。

もちろん、キャリアデザインとして女性の中間管理職を経験した、社内の環境改善に取り組んだというのは私の「宝」になることも考えられました。

だから少し打算的な部分があったことも事実ではあります。

というか、そもそもコーチングを受けています。

しかし、手段を選んでいるほど、環境改善というのは簡単なことではありません。

多少無理してでも、コーチングを受けてよかったなと感じています。