理想との差に悩む新卒男性。コーチングを受け適職を見つける

2020年9月4日

数年前、私はIT系の会社から内定をいただき、入社しました。第1志望の企業だったこともあり、私は非常に満足してたのを覚えています。大学2年の頃にはこの企業に入りたいと思っており、3年生の時には早い段階からインターンなどの就職活動を始めていました。3年生の後期には卒業に必要な単位をほとんど取り終え、万全な体制で就活を開始。日頃からの積み重ねが功を奏したんだな、と我ながら考えています。

とはいえ、私は相当運に味方してもらったとも思っています。というのも、私の入社した企業は就活生から非常に人気でした。そのため倍率も高く、有名大出身の知り合いが面接で落とされたという話も耳にしたことがあります。加えて、私の通っていた大学は世間的に見ても決して優秀な大学ではありませんでした。しかし、「どの大学を出たかよりも大学で何をしたかが重要だ」というのは本当なのでしょう。私もそれなりにやるべきことを学生のうちにやれていたんだと思います。

さて、第1志望の企業に見事入社することができた私。順風満帆の人生を送れると思っていましたが、そう甘くはありませんでした。数ヶ月、半年、1年と経つにつれ、自分の思い描いていた理想と現実とが次第にかけ離れたものになり始めていることに気がつきました。それもそのはずです。私は特に負けず嫌いという訳でもないので、勝負事があまり好きではありません。ですが、周囲の同期を見てみると、皆闘争心を燃やして社内での出世レースを勝ち抜こうとしているのです。気がつけば、徐々に自分が身を置いている環境に嫌気が差し始めていました。

とはいえ、私も社会を構成する一員です。ゆえに、自分の勤めている会社の歯車でもあります。そういった葛藤が自分の中で渦巻いていたこともあり、私はすぐに退社をする勇気が湧いてきませんでした。それに、心のわだかまりを同期に打ち明けることがあっても、「今の生活の方がいいだろう」など、現状維持が最善策と考えているようなアドバイスをされてばかりでした。なかなか自分の考えを肯定的に見てくれる人が見つけられないまま、ずるずると働き続けてしまっていたのです。

しかし、色々な人がいるもので、私の考えを受け入れてくれる人が現れました。彼は学生時代からの友人で、卒業後もしばしば連絡を取るような間柄です。そんな彼が勧めてくれたのがコーチングでした。彼曰く、「コーチングを受ければ自分のやりたいことが明確に見つけられる」とのこと。今までコーチングの存在を知らなかった私は、その話を聞いてすぐさまコーチングを受けることに決めました。

初めて受けたコーチングで、私は非常に大事なことに気づかされました。私は今まで、自分の好きなことと仕事との間には大きな隔たりがあるものだと思っていたのです。「好きなことで生きていける人間はごくわずか」という考えです。ところが、いざ色々な職業を調べてみると、世には自分の好きなことを存分に活かせる職業がたくさん存在しているではありませんか。同時に、私は昔から人と話すことが人一倍好きなことに気づかされました。当時働いていた職場では、もちろん人と話す機会はありますが、どれも堅苦しい仕事の話ばかり。もっとフランクな話題を楽しむことのできる職業が存在することを知り、私は辞職することを決意しました。

辞職したいという旨を伝えた時、周囲の反応は思ったより背中を押してくれるようなものが多かったです。私が息苦しそうな顔をして仕事をしているのにも、周囲は気づいていたのだと思います。とはいえ、特に大きな諍いもなく仕事をすんなり辞めることができたのは予想外でしたね。仮に周囲がいくら反対してきたとしても、私はそれを振り切ってやめていたとは思います。当時の私の意思はそれくらい強固なものになっていました。

IT系の企業を辞めた直後、私は飲食業のキャストとして働き始めました。料理やお酒のレシピを覚えるのには一苦労しましたが、それ以上にお店に遊びに来てくれるお客さんとあれこれ雑談するのが非常に楽しかったので、新米ながらも仕事は捗っていました。また、周りの先輩も優しく仕事を教えてくれたのが大きかったです。飲食業に転職して、転職したことが正解だったとかなり早い段階から思えました。

私は今も飲食業での仕事を続けています。この仕事を始めてから、月日も流れ、だいぶ仕事に慣れて来ました。次第に私も仕事を教える側の立場になり、新入りの教育を行なっている真っ最中です。後輩たちは皆人懐っこく、これからの成長が楽しみで仕方がありません。

コーチングのおかげで圧倒的に変化したのは、私の価値観だと思っています。確かに、一流の企業で高い収入を得るのもいいですが、自分の好きなことをのびのびとすることができる環境も同じくらいいいものです。あの時コーチングを受けていなければ、こういった価値観を持つこともできていなかったでしょう。私にふさわしい仕事を見つけるきっかけとなったコーチングには、感謝してもしきれません。