女性の私が、中小企業から大企業へのキャリアデザインに挑戦した話

私は、「転職を繰り返して、年収と役職を上げる」というキャリアデザインを狙っていました。

女性としては珍しいのかもしれないですが「営業として結果を出して、よりよい待遇を手に入れよう」、考えていたわけです。

つまり、

  1. 営業職として、(中小企業に)新卒で就職する
  2. 営業職として圧倒的な結果を出す
  3. 結果を強みとして、より待遇のよい企業へ転職する(理想はヘッドハンティング)
  4. 「2」に戻る

というループで、年収と役職を高めていこうと考えていたわけです。

最終的には、大企業で、それなりのポジションを取るというのが目標でした。

なぜ中小企業を新卒就職先に選んだかというと、「目立った結果が出しやすい」から。

営業の人数も少なく、「ナンバーワン」という称号を得られやすいと判断していました。

-新卒で就職-

私は新卒で、家庭教師の派遣会社に、営業職(BtoC)として就職しました。

社員500人程度の中小企業です。

この業界の営業は、女性がやや有利だと言われています。

営業の際には、先方の家に伺うのですが、そこでは子供が同席します。

優しい女性を演出すれば子供からの好感が得られやすく、成約率も向上します。

私の思い描くキャリアデザインを達成するうえで、ベストな企業でした。

中小企業ではありましたが、決して待遇も悪くありませんでした。

幸運なことに、営業での成績は、面白いように伸びていきました。

所属する支店の売り上げのうち、70%が私によるものであった時期もあります。

「一人で1支店の価値がある」とも言われました。

月額給与は、初年度ながら、40万円を超えることもありました。


中小企業に勤めている女性が得られる待遇としては、まさに破格です。

私のキャリアデザインは、少なくともスタートには成功していたと考えています。

-1度目の転職-

勤続3年目を迎えた年、転職活動へ移りました。

相変わらず結果は安定していたので、「他社から見ても、自分は魅力的な人材であるはず」だと考えていました。

私は中小企業ではなく、少なくとも一般的には「大企業」と呼ばれる企業へ狙いを絞りました。

なぜなら、大企業の方が、年収は高くなるからです。

キャリアデザインの観点から見れば、かなり理想的な転職先でした。

最終的には、同じく家庭教師の派遣会社へ転職。

女性というアドバンテージを失わないように、同じ業界を選びました。

過去の実績と経験を評価され、破格と言っていい待遇が用意されました。

ノルマを達成する限りにおいては、年収650万円程度が保証されていたのです。

しかし、ここで結果を出すことに苦労します。

最低限のノルマはクリアできるものの、キャリアデザイン上で重要な「圧倒的な営業成績」が叩き出せないのです。

結果が出ない原因は、主にふたつあります。

ひとつは、売り込む「サービス」の単価が高かったということ。

前職で提供していたサービスよりも、1.5倍ほどの単価になっていました。

「価格に対するアグリー」が取りづらく、思うように成約率は高まりません。

もうひとつは、「大企業」であるがゆえ、ライバルが多かったということ。

私は中小企業に勤めていたころ、「私は女性だが、男性以上に有能な営業ウーマンだ」と、自分を過大評価していました。

しかし大企業に入ってみると、私以上に有能な人が、ゴロゴロいました。

だから、「圧倒的な営業成績」を出すのは、極めて難しい状況にあったというわけです。

私のキャリアプランは、ここで大きく狂わされました。

-2度目の転職-

1年半ほど、大企業で働いていました。

努力を繰り返した結果、何とかライバルたちと対等に戦えるようになりました。

営業成績においては、常に上位30%には入っていたはずです。

しかし、「圧倒的な営業成績」を出すには至りません。

それは、「営業成績が1位であり、なおかつ2位と大差をつけている」という状態を指します。

これを達成するのは、たいへん難しい状態でした。

そんな折、ある中小企業から、ヘッドハンティングを受けました。

女性向け住宅を専門に取り扱う中小企業です。

この中小企業は、「待遇はできるだけのものを用意するから、ぜひウチに来て欲しい」と言いました。

現状に手詰まり感を感じていた私としては、魅力的な話でした。

しかし、問題がふたつあります。

まず、中小企業であり、「大企業でポジションを取る」という私のキャリアデザインと逸脱していること。

そして、女性向け住宅の営業について、何にも知らないということ。

このふたつの問題は重大であり、転職を即決するには至りませんでした。

しかし、最終的に私は、この中小企業へ転職する道を選びました。

理由は、現状では「圧倒的な営業成績が確保できない」ということ。

「おそらく家庭教師派遣会社の営業としては、私は限界に達している」ということに気づきました。

つまりキャリアデザインの目標に対して、選ぶフィールドを間違えていたということです。

女性向け住宅の営業という分野であれば、私はより高いパフォーマンスを見せられるかもしれません。

大企業から中小企業へズレてしまうのは、確かに痛手ではありますが、それは受け入れざるを得ませんでした。

-現在-

現在は、女性向け住宅の営業として、ようやく勝手が掴めてきたというところです。

今のところ、手応えはあります。

過去の経験が活かされ、ある程度は成約を確保できています。

それから、「キャリアデザインのコーチング」を受けました。

いわゆる、「個人向けキャリア支援」というものですね。

キャリアデザインを達成するうえでは、「20代、30代それぞれで求められるものを理解する」ということが大切です。

それを教えてくれたのが、「コーチング」です。

私は、「自分が営業成績を上げておけばいいや」と考えていたフシがあります。

同期はみんな敵だとさえ、思っていたかもしれません。

しかし私の年代(30代)では、「自分の営業成績だけを追求する」のでは、キャリアデザインは達成できません。

30代ともなると、後進が挙げる成績にも、責任をもたなければいけません。

自分が成績を残すよりも、後進の成績を伸ばすように動きました。

この態度変容がなければ、今の私はなかったと思います。

つまり「コーチングを受けていなければ、今頃どうなっていたのやら……」というところですね。

私のようなキャリアデザインを描くつもりなら、コーチングは受けておいたほうがよいと思っています。