女性の私が、中小企業から大企業へのキャリアデザインに挑戦した話
私は、「転職を繰り返して、年収と役職を上げる」というキャリアデザインを狙っていました。
女性としては珍しいのかもしれないですが「営業として結果を出して、よりよい待遇を手に入れよう」、考えていたわけです。
つまり、
- 営業職として、(中小企業に)新卒で就職する
- 営業職として圧倒的な結果を出す
- 結果を強みとして、より待遇のよい企業へ転職する(理想はヘッドハンティング)
- 「2」に戻る
というループで、年収と役職を高めていこうと考えていたわけです。
最終的には、大企業で、それなりのポジションを取るというのが目標でした。
なぜ中小企業を新卒就職先に選んだかというと、「目立った結果が出しやすい」から。
営業の人数も少なく、「ナンバーワン」という称号を得られやすいと判断していました。
-新卒で就職-

私は新卒で、家庭教師の派遣会社に、営業職(BtoC)として就職しました。
社員500人程度の中小企業です。
この業界の営業は、女性がやや有利だと言われています。
営業の際には、先方の家に伺うのですが、そこでは子供が同席します。
優しい女性を演出すれば子供からの好感が得られやすく、成約率も向上します。
私の思い描くキャリアデザインを達成するうえで、ベストな企業でした。
中小企業ではありましたが、決して待遇も悪くありませんでした。
幸運なことに、営業での成績は、面白いように伸びていきました。
所属する支店の売り上げのうち、70%が私によるものであった時期もあります。
「一人で1支店の価値がある」とも言われました。
月額給与は、初年度ながら、40万円を超えることもありました。
中小企業に勤めている女性が得られる待遇としては、まさに破格です。
私のキャリアデザインは、少なくともスタートには成功していたと考えています。
-1度目の転職-

勤続3年目を迎えた年、転職活動へ移りました。
相変わらず結果は安定していたので、「他社から見ても、自分は魅力的な人材であるはず」だと考えていました。
私は中小企業ではなく、少なくとも一般的には「大企業」と呼ばれる企業へ狙いを絞りました。
なぜなら、大企業の方が、年収は高くなるからです。
キャリアデザインの観点から見れば、かなり理想的な転職先でした。
最終的には、同じく家庭教師の派遣会社へ転職。
女性というアドバンテージを失わないように、同じ業界を選びました。
過去の実績と経験を評価され、破格と言っていい待遇が用意されました。
ノルマを達成する限りにおいては、年収650万円程度が保証されていたのです。
しかし、ここで結果を出すことに苦労します。
最低限のノルマはクリアできるものの、キャリアデザイン上で重要な「圧倒的な営業成績」が叩き出せないのです。
結果が出ない原因は、主にふたつあります。
ひとつは、売り込む「サービス」の単価が高かったということ。
前職で提供していたサービスよりも、1.5倍ほどの単価になっていました。
「価格に対するアグリー」が取りづらく、思うように成約率は高まりません。
もうひとつは、「大企業」であるがゆえ、ライバルが多かったということ。
私は中小企業に勤めていたころ、「私は女性だが、男性以上に有能な営業ウーマンだ」と、自分を過大評価していました。
しかし大企業に入ってみると、私以上に有能な人が、ゴロゴロいました。
だから、「圧倒的な営業成績」を出すのは、極めて難しい状況にあったというわけです。
私のキャリアプランは、ここで大きく狂わされました。
-2度目の転職-

1年半ほど、大企業で働いていました。
努力を繰り返した結果、何とかライバルたちと対等に戦えるようになりました。
営業成績においては、常に上位30%には入っていたはずです。
しかし、「圧倒的な営業成績」を出すには至りません。
それは、「営業成績が1位であり、なおかつ2位と大差をつけている」という状態を指します。
これを達成するのは、たいへん難しい状態でした。
そんな折、ある中小企業から、ヘッドハンティングを受けました。
女性向け住宅を専門に取り扱う中小企業です。
この中小企業は、「待遇はできるだけのものを用意するから、ぜひウチに来て欲しい」と言いました。
現状に手詰まり感を感じていた私としては、魅力的な話でした。
しかし、問題がふたつあります。
まず、中小企業であり、「大企業でポジションを取る」という私のキャリアデザインと逸脱していること。
そして、女性向け住宅の営業について、何にも知らないということ。
このふたつの問題は重大であり、転職を即決するには至りませんでした。
しかし、最終的に私は、この中小企業へ転職する道を選びました。
理由は、現状では「圧倒的な営業成績が確保できない」ということ。
「おそらく家庭教師派遣会社の営業としては、私は限界に達している」ということに気づきました。
つまりキャリアデザインの目標に対して、選ぶフィールドを間違えていたということです。
女性向け住宅の営業という分野であれば、私はより高いパフォーマンスを見せられるかもしれません。
大企業から中小企業へズレてしまうのは、確かに痛手ではありますが、それは受け入れざるを得ませんでした。
-現在-

現在は、女性向け住宅の営業として、ようやく勝手が掴めてきたというところです。
今のところ、手応えはあります。
過去の経験が活かされ、ある程度は成約を確保できています。
それから、「キャリアデザインのコーチング」を受けました。
いわゆる、「個人向けキャリア支援」というものですね。
キャリアデザインを達成するうえでは、「20代、30代それぞれで求められるものを理解する」ということが大切です。
それを教えてくれたのが、「コーチング」です。
私は、「自分が営業成績を上げておけばいいや」と考えていたフシがあります。
同期はみんな敵だとさえ、思っていたかもしれません。
しかし私の年代(30代)では、「自分の営業成績だけを追求する」のでは、キャリアデザインは達成できません。
30代ともなると、後進が挙げる成績にも、責任をもたなければいけません。
自分が成績を残すよりも、後進の成績を伸ばすように動きました。
この態度変容がなければ、今の私はなかったと思います。
つまり「コーチングを受けていなければ、今頃どうなっていたのやら……」というところですね。
私のようなキャリアデザインを描くつもりなら、コーチングは受けておいたほうがよいと思っています。