中間管理職の男性が鬱になりキャリアデザインを考え直すと…

私は、大学を卒業後に大手商社の営業として入社しました。もともと希望していた会社に入社できたこともあり、決まったときは飛び上がるほど嬉しかったのを覚えています。22歳で入社し、40代に差し掛かった頃、「中間管理職にならないか?」とキャリアデザイン変更のお話をいただきました。

男性にとって会社で昇進は一大イベントですし、まわりの家族もとても喜んでくれました。ただもともと持っていたイメージと、あまりに違う管理職の現実が待っていたのです。

どうして私がコーチングに相談したのかについてもご紹介していきたいと思います。

私が勤めている商社は、取引先に「こんな素材がないか?」「製品の販売をしたいんだけど…」などの要望を聞いたうえで、どうやったら販売でき売上があがるのかをサポートするのがメインの仕事になります。

主に“メーカーの御用聞き」的な面もありますが、多岐にわたる仕事の幅があること、お客さんに「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えてもらえると、この仕事をやってきてよかったと思う気持ちが湧いてきます。

我社ではもともと取り扱う商品の種類が膨大なのもあり、幅広い知識や提案力が求められます。正直、入社して5年は覚えることばかりであっという間だったのを覚えています。今でも新入社員や入社したばかりの後輩を見ると「私にもこんな時代があったな・・」とそのときの苦労を思い出します。

中間管理職になれたと喜んでいたのもつかの間に、あっという間に仕事の量が増え忙しい日々がやってきました。私が実際どんな悩みをかかえ苦悩したのか、最終的に鬱になってしまった理由についてお話させていただきます。

まず、その理由としてあげられるのは「部下との関係性」にあると思います。管理職になるといきなり会社での人付き合いが変わります。今まで同じフィールドで働いていた人が部下になるので、なかにはやっかみを持つ人もいたようです。

自分が中間管理職になり指示を出す立場になると、自分がいた頃と比較してしまったり、仕事の段取りがうまくいかずに部下に対して不満を感じるようになります。部下にとっても私はやりにくい(頼りにくい)上司だったようで、私を飛ばしてもっと上の上司に相談する部下もいました。

そのため、あとから上司に呼び出され「この件、話聞いてる?」といわれても「知りません」としか答えることができませんでした。なかには前任者と比較され「前はこうだったのに…」と不満を言われることもありました。こういった比較的な言葉が耳に入るのは、精神的にもちょっとつらいな…と感じました(苦笑)

でも、こういった気持ちを相談できる相手がいないんですよね。特に中間管理職になると誰にも相談できずに一人で解決しなくてはいけなくなります。もっといえば上司と部下との間にはさまる形になります。上司から直接怒られたり注意を受けるのは管理職になり、それを部下に伝えるのも私と完全に板挟み状態になります。

他にもストレスに感じたのは会社の経営陣から絶対に無理とわかっているノルマを押し付けられたり、仕事が遅いと注意されてしまうこともありました。ただでさえ部下の悩みを抱えているのに経営陣からもきつい一言を浴びることも多くなっていたのです。

営業成績が思わしくないとき、売上が悪いときは特に厳しいと感じることもあり、最も辛かったのは「代わりはいくらでもいるんだからな」といわれたことです。管理職といっても、私が辞めても結局次がいるのです。

そんな状況に次第に体調が優れず辛い日々が続きました。お腹を壊しやすくなったり、疲労感がとれずぼーっとしてしまい、憂鬱な気持ちが続き次第に会社に足がむかなくなっていきました。中間管理職だから仕方ない、頑張らないと居場所がないと思いつつも、日々の重圧に心身ともに疲れてしまったのです。

それでも電車に乗って会社に行く日々でしたが、家族から「一度病院に行ってみたら」といわれ、お休みをいただきました。そこで「鬱」と診断されると「あ、やっぱりな」と思ったのを覚えています。その後会社に相談し、休職させていただくことになり、しばらく家で自宅療養をさせていただきました。

半年程度休職したあと、結果として退職届を出すことになりました。実は休職で仕事を休んでいる間、今までの経験をいかして「起業」の道もあるのではと考えるようになりました。そこでパソコンでHPを作ってみたり、人脈を使って起業の話を聞いてみるなど時間を有効活用し仕事についての考え直してみたのです。

そのきっかけをくれたのは、家族が見つけてきたコーチングです。心理カウンセリングとは違い、将来のキャリアのためにどうするべきか、一緒に計画し考えてくれると聞き重い腰を上げていきました。コーチングという言葉すらはじめて聞きましたが、これが起業の道を開いてくれたと思っています。

もし今の状況に悩んでいる中間管理職の方がいれば、私のようにキャリアデザインに相談してみるのもいいと思います。実際、男性の多くの管理職が私のように悩んでいるそうです。迷いが解消され、新しい道が見つかるかもしれません。